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ある精神保健福祉士のひとりごと
by alma-mater
薬は常識
私は心療内科でたった1年半ではありますが、非常勤カウンセラーとして働いた経験があります。

クリニックが閉院となってしまったために私も辞めることになりました。

でも、閉院は私にとっては天の助けのようでした。


医療機関で働いてみたくて、精神保健福祉士の資格を取りました。

でもそこで働いていると、人を不幸にすることに手を貸しているような気持になって、でも医療機関である程度働けば自分のキャリアにもなるし・・・と心に葛藤が起こってしまった。

閉院になることで、自分で決断する必要なくお役御免となったことはとても有難い成り行きでした。

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先生の人柄は好きだったので個人攻撃や批判はしたくない。

でも、先生、患者さんの話を聴いてるつもりで聴いてない。

私が就職面接に伺ったときも、先生は私に質問しながら結局はず~っと自分の話をしているうちに面接時間は終わってしまった。

それでも先生は、「患者さんの話をよく聴いて、認知行動療法と同じようなことをしている」とおっしゃっていた。

「いや、してないから」と私は心の中で反論してました。

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薬をたくさん処方する。

これは日本の精神科医療では当たり前のこと。

学生のうちからそういう教育を受けたらそういうものだと思ってしまう。

ちゃんと自分で考える力のあるドクターはそのうち「おかしい」と思うはずだけど、何も考えない普通の医師は「常識だから」薬を出す。

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私の目から見たら、この程度なら薬なして何回かカウンセリング受ければすぐに楽になると思うようなケースでもほぼ自動的に薬が出される。

新患さんのインテーク面接をしていると、心療内科を人生相談ができるところと勘違いしてる人もいる。

だけど、本当にカウンセリングが有効そうな人でもカウンセリングを受けたいと思う人は悲しいかな、ほとんどいない。

心のつらさを、医師が取り除いてくれると思っている。

薬を飲んで、なんとか日常をやっていければそれでいい。

深く人生見つめなおしたいなんて思わない。

ましてや保険も効かないカウンセリングなんて。



それで、10年くらい薬を飲み続けて、ちっともよくならない。

それでついに病院に見切りをつけて、自分でなんとかしようと決心した人が私の個人でやってるセラピースペースにいらっしゃる。

そういう決心をした人は回復が早い。


そして、元気になった後で、「私の10年はなんだったの?」と嘆く。


その10年があったからこそ、今があるのだろう、と思う。

その10年は決して無駄ではなかった。

その10年の苦しみを、その後の人生で生かしていける。
 
それにしても・・・。


10年うつ病やって、私のところへ来られたある方は、主治医から「あなたは一生うつ病の薬は飲み続けなければならない」と言われたそうです。

そのうちに自分でもっと信頼できる病院を探そうと動き出して、「この先生なら」と思える病院に転院したら、「あなたのうつはもう治ってます」と言われ(他の病名をもらったけど)、薬を大幅に減らしてもらえて、「私、うつ治ってました!!」と大喜び。

その一言で呪いが解けるように元気になっていきました。

(まあだからといってその人の生き方がすぐに変わるわけでなく、生き方のクセはその後も心身の状態を不安定にはさせてますが)

医師は絶大な権威を持っている。

医師の一言は呪いになる。

もちろん良い医師の言葉は救いの言葉にもなる。
 
あなたが会った医師が高圧的で人の話をちゃんと聴いてくれないと感じたら、そこに通い続けるのは止めたほうがいい。

温かく包容力のある先生を探してください。

先生の存在そのものがあなたの力になってくれるはずです。

by alma-mater | 2016-11-22 19:07 | 心理内科勤務で思ったこと
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